新宿三丁目探検家・中村うさぎです!
今回は、三丁目のバー「馬酔木」さんに行ってまいりました。
こちらのお店、今は亡き名物ママ・石田英子さんが昭和27年から平成17年まで女手ひとつで守り抜いてきた老舗で、SF作家の半村良氏をはじめとする大作家や芸術家の方々が毎夜集ったサロンのようなお店だったそうです。
いわゆる「文壇バー」的な感じだったのでしょうか。
ここだけの話、中村は文壇バーが苦手であります。
飲みに行った先で同業者とばったり会うのが嫌いなうえに、店の人も客も何だかプライド高そうというイメージが強くて、この手の店にはできるだけ足を踏み入れないように心がけてまいりました。
実際、もう十年以上も昔の話ですが、あるパーティの二次会で「文壇バー」なる場所に連れていかれた際、私が数人の同業者と下ネタに興じていたら店の女の子に思いっきり不愉快な顔をされて、酒も作ってもらえなかったという苦い思い出もあります。
けっ! なに気取ってやがんでぇ! 飲み屋なんだから下ネタくらいさせろっつーの!
と、このような下賤の者にありがちな僻み根性で、以来、私は文化度の高いお店が大の苦手なのでありました。
そんなわけで、こちら「馬酔木」のドアの前にやってきた私の緊張感ときたら半端ないぜ!
むむう、何やらとっても風情のある佇まい!
とっても素敵なんだけど、高尚そうで足がすくむわ!
ドアを潜ると、中は広々、予想に反して居心地良さそうなアットホームな店内です。
奥の大きな鏡がお洒落!
アンティークな照明や、古いピアノもいい感じ。
しかし、席に着いた中村、まだまだ緊張しております。
と、そこへ現れたのは、鬼より怖い文壇バーのお姉さん!
ではなく!!!
なんかめっちゃ優しくて感じよさげなお姉さんの笑顔!
「いらっしゃいませー」
そうなんです!
私の10年来のトラウマと偏見を一秒で吹き飛ばす、そりゃもう温かくて柔らか~い雰囲気がお店全体を包んでいるのです!
むむう、何なんだ、この懐かしい感じは!
まるで遠い記憶の中の我が家に帰ってきたようだ!
その秘密は、しばらくお話をしているうちに、だんだんわかってきました。
たとえば、壁に飾られた絵や書や写真は、どこぞの有名アーティストの作品かと思いきや、お客さんたちのアマチュア趣味の作品なんだそうで。
そうか、こうやってお客さんたちが自分の作品を持ち寄ったりして、このお店を「第二の我が家」みたいに作り上げていってるんだ。
そして、そんなお客さんたちの作品を喜んで飾ってくれる懐の深さが、このお店の温かい雰囲気を醸し出してるんだなぁ。
中村、ここで深く深く納得いたしました。
ああ、わかる!
こういうお店なら、お客さんが自然に集まってくるよねぇ!
名物ママと呼ばれた石田英子さんの温かさが今もこのお店を包んでて、たくさんの人たちの「我が家」となってきた、その歴史が、初めて来た私をこんなに和ませてくれるのね!
今風のかっこいいバーは都内随所に数あれど、こういう「我が家」チックなお店はなかなか見つけられないもの。
ここは、もしかしたら私たちの求めてた「居場所」なのかも!
なーんて、すっかりくつろいじゃった私なのでしたー。
うひゃー、笑顔!
最初の緊張は何だったんだ!
てか、「文壇バー」トラウマのためにすっかり誤解しててすみませんでしたー!
店のお姉さんたちといろいろ話が弾んで、楽しいひと時を過ごさせていただきましたよ。
名物ママが小さな身体と大きな愛で育てたこの「馬酔木」。
コースターやマッチとも、その当時のモダンな雰囲気を伝えてくれます。
ちなみにこの「馬酔木」さん、フロアレディ募集中だそうで。
興味のある女性はぜひ!なのでしたー!
よろしくっ!
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店名 馬酔木
住所 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-10-7
電話 03-3354-6834
営業 19:00~24:00
定休 土日祝日
地図
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