美味しいものを美味しい時期に。新宿御苑前の今旬なおさかな祭り

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ランチタイムは近所の勤め人たちで賑わう営団地下鉄丸の内線・新宿御苑前駅界隈。華やかな新宿駅近辺とは若干趣を異にして、ビルに囲まれたその一角は公園や学校が並び、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
そもそも新宿御苑前駅は都民のオアシス「新宿御苑」の最寄り駅として発展した一角で、毎年桜のシーズンには大いに賑わいます。

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桜シーズンの新宿御苑

新宿御苑そのものは新宿区と渋谷区にまたがった大きな庭園です。もともとは信濃・高遠藩内藤家の下屋敷があった敷地で、その後に農業振興を目的とした内藤新宿試験場として設置され、新宿植物御苑、皇室の御料地という歴史を経て、戦後「新宿御苑」となりました。戦後は一般にも公開され、国民公園として今年で開園110年という歴史を誇ります。
カラリと晴れた日に散策するには、とても心地いいスポット。それが新宿御苑なのです。

そんなのどかで明るい昼間のイメージが強い新宿御苑前エリアですが、実は夜の乾杯タイムも密かな賑わいを見せています。街を一回りしてみると、居酒屋さんから和食、洋食、カフェ、バーと多くの飲食店が軒を連ねています。

 

さて、数あるグルメ・スポットの中から、どのお店を紹介しようか……? そう考えたときにふと浮かんだのが「魚」。初夏のこの季節、様々なおさかなちゃんが美味しくなる季節です。ならば御苑前界隈で、ちょっと大人な感じで「旬」を楽しんじゃおう、という趣向です。

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「旬」は言うまでもなく、その食材が一番美味しいと言われる時期のことで、主に魚や野菜に使われる言葉です。また「旬」という文字には「十日間」という意味もあるそうで、つまり“美味しい季節にはとっとと食べるに限る”ということなのでしょう。
で、初夏の昨今、旬を迎えた魚といえば、代表的なのがアジ。刺身でよし、タタキでよし。ほかにもイサキ、キス、カジキマグロから、珍しいところではマコガレイやオコゼなんていうのも美味しくなるそうです。

早速リサーチしてみたところ、発見したのが魚介料理「かつ味」です。

新宿御苑前駅からは徒歩一分。三番出口を出て靖国通り方面に向かってふたつめの角を右折して二軒目の地下にお店はあります。

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店内に入るとまず目に飛び込むのは、壁にズラリと並んだお品書きの看板。マグロ(1,000円)、アジ(680円)で、カンパチ(780円)でなどの刺身から、ノドクロ一夜干(390円)で、こまい(390円)、ハタハタ一夜干(250円)、サケハラスの干物(490円)、もずく(290円)、山芋わさび漬け(390円)、のおつまみなど食欲も“酒欲”もソソる肴が揃っております。

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お店の内装も、いわゆる「大衆割烹」といった雰囲気のノスタルジックな昭和感。小奇麗な落ち着きがあります。

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この「かつ味」、新宿御苑前にお店を構えて、このたびめでたく一周年を迎えました。とはいえ昨日今日はじめた新規店ではなく、神田から移転してきた知る人ぞ知る人気店なのです。

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その裏側には、店主・高田勝己さんの苦労がありました。実は高田さん、二年ほど前に体調を崩し、やむなく神田のお店を閉店。その後、必死のリハビリを経て昨年カムバックを果たしたのです。この復活劇にはお医者さんも「奇跡」の太鼓判を押したとか。

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「かつ味」の大きな魅力は、大将(高田さん)とのふれあいにもあります。
子どものころ、ご実家で雇っていた職人さんたちにまかないを振舞うお母さんの手伝いをしたことから料理に興味を持ち、居酒屋、割烹からナイトクラブと、若いころから飲食業のアルバイトを続けてきたそうです。中でも気に入っていたのが鮮魚店の板場。魚屋さんで刺身を下ろしたりする厨房の仕事ですね。

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そんな数々の経験を経て「かつ味」一号店を神田にオープンしたのが約七年前。一年と少しで三ヵ月先まで予約で満席という人気店を、口コミだけで作り上げました。
そんな大将ですから、多岐にわたって話題も豊富。実際、取材のときもうっかり二時間近く話し込んでしまったものです。

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もちろん一番知識豊富なのが、魚と酒。長年の飲食業経験と毎日築地に通って育んだ眼力で、間違いないひとときを提供してくれます。特に「かつ味」で旬を満喫するのなら、予約してから訪れるのが大正解。たとえば魚の好みひとつとっても「さっぱりとした魚で」とか「貝類中心で」とか好みを伝えておけば、その時期、最高に美味しい魚を用意してくれます(コースは3,500円~)。

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コース刺盛五種

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コース刺盛五種

もちろん、定番メニューのマグロに代表される刺身も充実。今の時期なら特大サザエ(1,200円)や炙りイサキ(980円)などの鮮魚を目当てに、ひとり呑みの女性も増えているそうです。

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新鮮な青森・大間の本マグロ

さらに自家製の干物も逸品。イカの一夜干(580円)や、時期によってはアジの干物など、冷凍モノの干物に慣れた口には、手作りならではのふっくら感が泣けてきます。こうしたクオリティの高さから、「魚を食うなら絶対にここ!」と決めている常連さんがいるのもうなづけます。

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常連さんが絶賛する鮮魚

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アジの塩焼き

「20代のころに経験した原点の『大衆割烹』を再現したいと思ってこの店を作りました。新宿御苑前という土地柄とともに、お客さんと距離感とか、ここは理想的なスペースです」

と語る大将・高田さん。仕事に対する想いをうかがった。

「美味しく食べてもらえる喜びで続けてきました。魚の本当の旨さをわかってもらえる仕事を心がけています。なので、お客さんがこの店から感動しながら帰ってもらえるといいですね」

 

材料さえあれば、簡単なリクエストにも答えてくれるし、夜の時間帯も定食類が食べられるお客さん本位の「かつ味」。気になる人はまず人気のマグロ・カンパチの二色丼(1,000円)、鮭かま焼き定食(850円)で気軽にランチでもして、その“腕”を確かめてからたずねてみるのもいいでしょう。

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ランチ限定の二色丼

※表示価格はすべて税込みです。

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店名 かつ味 新宿御苑前店
住所 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-13-8 葵ビル 地下2F
電話 03-6457-7554
営業 17:00~23:00 ※土曜日は不定休
定休 日・祝日
地図

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